示差走査蛍光定量法(DSF)
タンパク質の構造および製剤スクリーニングのための安定性を迅速に特性評価する方法
安定性研究を加速する
示差走査蛍光測定法(DSF)を用いると、さまざまなタンパク質や製剤を迅速にスクリーニングし、最も安定したサンプルを見つけることができます。加速化高温定温試験で何日も何週間も、またはリアルタイムの安定性試験で長時間待つ代わりに、DSFはサーマルランプに反応してタンパク質の構造がどのように変化するかを評価することにより、わずか数時間で答えを得ることができます。
蛍光の利用
DSFは、タンパク質構造の変化に伴う蛍光の変化を測定します。蛍光は、タンパク質自体に含まれるトリプトファン、チロシン、フェニルアラニン残基(内在性蛍光)か、またはSYPRO® Orangeのような添加された蛍光色素から得られます。
スペクトルの観察
タンパク質の場合、発光される蛍光の形状は、蛍光性アミノ酸の周囲の局在的な環境に依存します。高非極性疎水ポケットの変性タンパク質の蛍光スペクトルは、極性の低い水性環境にさらされた蛍光アミノ酸を持つ変性タンパク質のスペクトルとは異なって見えます。
加熱
示差走査蛍光の差は、熱を加えることによって生じます。DSFでは、温度調節器の高温に反応してタンパク質がアンフォールディングする際の蛍光の変化を測定できます。
変曲点の特定
オンセット温度(Tonset)はタンパク質がアンフォールディングを開始する温度です。他の変曲点(Tm1、Tm2)は、アンフォールディングイベントの中間点の温度です。SLSは、これらのアンフォールディングイベントのいずれかが凝集につながるとき、凝集温度(Tagg)を特定できます。
フルスペクトル蛍光検出法
フルスペクトル蛍光は、単に最高のシグナル対ノイズ比を持つだけではありません。DSF実験に何か問題が生じたときにそれを把握するための重要なツールであり、バックアップ計画の重要な部分です。小さなタンパク質は蛍光アミノ酸を持たない可能性があり、バッファーは蛍光を発するか、固有のタンパク質蛍光からのシグナルを消光させることもできます。
DSFは、タンパク質のアンフォールディングを追跡する蛍光色素を用いて行うことができます。また、ウイルスベクターを用いた安定性研究においては、核酸に敏感な色素をAAVのようなウイルスベクターと併用することで、ゲノムがカプシドから漏れ出すタイミングを検出することができます。
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示差走査蛍光測定(DSF)、静的光散乱(SLS)、動的光散乱(DLS)を組み合わせた装置を利用することで、バイオ医薬品開発やタンパク質の安定性研究が飛躍します。何かご質問などございましたらお気軽にお問い合わせください。