製剤・多形スクリーニング

課題

医薬品有効成分（API）の特性評価は、化学構造を知ることにとどまりません。原薬は様々な形態（多形）に結晶化することがあり、それぞれ独自の溶解性、生体利用度、および水和安定性を持っています。知的財産の観点からも、研究者にとって、手持ちのAPIのすべての多形を、誰よりも先に特定することは極めて重要です。つまり、新しいAPIを発見してからはまだまだ気の遠くなるような作業が残っているということです。また、どのような条件や形態で結晶化するのかを明らかにすることで、その特徴を完全に把握することも重要です。そのためには、溶媒だけでなく、塩や潜在的な共結晶の存在が結晶多形にどのような影響を与えるかを理解することも含め、結晶を生成するための多くの条件を探索し、広範な多形スクリーニングを行う必要があります。多形スクリーニングは完了までに通常たくさんの作業者を必要とする膨大な作業です。

ソリューション

Big KahunaとJuniorは、結晶化プレートの準備、高温試薬のろ過、分析結果の統合をを行う自動化プラットフォームです。このプラットフォームには、小規模な製剤および多形スクリーニング試験の設定と実行に必要ないくつかの主要コンポーネントを統合しており、これまで以上に多くの製剤や多形の原薬を探索することができます。

性能

粉体分注

固形分注には2つの方式があります。大型ホッパーは、1種類の粉体を多くの容器に分注する際に最適です。ホッパーの容量は10、25、50、100mLがあり、Big KahunaとJuniorデッキに複数のホッパーを任意の組み合わせでセットすることができます。通常の多形スクリーニングで多くの異なる粉体を分注する必要がある場合は、ストレージバイアル（SV）ホッパーに切り替えてください。このホッパーは、標準的な4mLガラスバイアルに使い捨てのディスペンスヘッドを装着したものです。デッキ上に数十本、デッキ外に数百本のバイアルを設置できます。この小型ホッパーは、固形分注の柔軟性を高めてくれます。

加熱機能付き液体分注

Big KahunaとJuniorには、液体を移送するための多くのオプションがありますが、最も便利なのは、加熱機能付きのSpread Six Tipです。先端部の温度は120℃まで可能で、針のピッチは9～20mmまで変えることができ、96ウェルプレートの小さいバイアルやより大きなバイアルにも確実に溶液を出し入れすることができます。1つの溶液のみを使用する場合には6Tipのうちの1つだけを使用するSingle dispense modeに切り替えられますし、4本使用したい場合には4Tip Modeにすることもできます。

加熱機能付きフィルターブロック

結晶化は、結晶形成を開始させる核剤の存在に非常に敏感です。核剤は非常に再現性のない結果につながります。このような固体または目に見えない小さな核剤粒子の自動除去は、Big KahunaまたはJuniorデッキに取り付けたフィルターブロックを通して分注することで自動的に排除できます。フィルターとガスケットは120℃まで加熱することができます。このフィルターブロックによって、全て密閉することができ、小規模な多形スクリーニング実験を行う際の蒸発や沈殿を防ぐことができます。

Freeslate-2-1-2012-13_heated filter block change

結晶化ブロック

最後の重要なステップは結晶化です。Big KahunaとJuniorは、加熱式6チップリキッドハンドラーと結晶化ブロックをセットアップすることができます。ブロックは、ガラス基板に対して密閉されたプラスチックチューブで構成され、結晶は溶液から析出し、ガラス基板上に沈殿します。ブロックは加熱または冷却できるので、複数のセットアップを行い、同じ試薬の異なる温度での結晶化条件を比較することができます。実験が終わったら、ブロックを分解し、そのガラス基板をXRDやRamanに持ち込んで構造を確認することができます。